介護職の身体的な負担として真っ先に思いつくのが腰痛です。利用者を抱えたり、支えたり、おむつ交換等腰に負担のかかる介助を一日のうちに何度も繰り返し行うため、腰への負担は他の職業に比べても段違いに大きいです。事実、介護の従事年数が長い職員の方ほど腰痛を持っている確率は増えていきます。
腰を傷めにくくする工夫として最近は「ノーリフト介護」という言葉が注目されるようになってきました。これは介護ロボット等を活用し、介護職員にかかる負担を少しでも軽くする取り組みです。ところがこれを実践できているのはお金のある一部の施設であり、一般的なレベルにまではまだ至っていません。
そのため、介護者は自分で自分の身体を守らなければなりません。腰を傷めにくくする工夫として挙げられるのが、「中腰にならない」「腰をひねらない」ということ。介助の場面ではこれらの動作をする場面が多く発生しますが、一つひとつの動作に気を配りながら「ボディメカニクス」を意識して介助をしてみると、腰への負担が少なくなることがわかるでしょう。
時間がかかるという声も聞かれるかもしれませんが、ボディメカニクスを利用しながら介助すると利用者への負担も減り、怪我やアクシデントが減る、家族の苦情が減るなどのメリットがあると言われています。
従事年数が長くなるにつれて、介助方法には自分のくせが出やすくなります。ボディメカニクスを意識してくせを直し、正しい介助方法を身につければ、腰痛と無縁な日常が手に入るはずです。